公開講演会「教えたけど、知っているのに、使えないのはなぜか?最新の第二言語習得(SLA)研究で分かってきていること」
INFORMATION
英語授業において、「教えたけど、生徒が英語を使えない」、また、「文法規則を知っているのに、使えない」という現象が頻繁に起こります。そして、なぜそのような現象が起こるのか?という問いに答えるためには、様々な知見を用いる必要があるでしょう。本講演では、第二言語習得(SLA)研究の一つの理論であるスキル習得理論(Skill acquisition theory)を中心に扱いながら、その答えを探ります。
教えたのに…知っているのに…使えない。だから、「教えない」、「知らなくていい」というような短絡的な結論に陥らず、なぜ使うようになるには時間がかかるのか、どのような学習メカニズムが働いているのか、使えるようになるために効果的な指導のコツは何か、などの問題をSLA研究の成果から考察します。特に、スキル習得理論に基づく近年の研究は、認知心理学における「学習の科学(Science of Learning)」の知見も検証?応用しながら発展しているため、そのような最近の研究動向も含めて議論します。
講師
神奈川大学国際日本学部准教授
鈴木 祐一(すずき ゆういち) 氏
神奈川大学国際日本学部准教授。博士(第二言語習得、メリーランド大学)。
専門分野は第二言語習得?外国語教育。共著に『英語学習の科学』(2022年、研究社)、『高校英語授業における文法指導を考える』(2020年、アルク)、『高校生は中学英語を使いこなせるか?』(2017年、アルク)がある。分担執筆に、『外国語学習での暗示的?明示的知識の役割とは何か』(2021年、大修館)、『実践例で学ぶ 第二言語習得研究に基づく英語指導』(2017年、大修館)、The Routledge Handbook of Psychology of Language Learning (2021年, Routledge)や The Routledge Handbook of Second Language Acquisition and Language Testing (2020年, Routledge)等がある。The Modern Language Journalの特別号の編集(『認知心理学から見た第二言語における練習の最適化』、2019年)および Studies in Second Language Acquisition, Second Language Research, Applied Psycholinguisticsなどの編集委員を務める。